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教育内容

エンジニアの卵としての新入生

大学に入学し,その授業形態は大きく変わります.受験勉強として,いくつかの受験科目について勉強していますが,以下のような事項がよく指摘されます。

(1)力学や数学の基礎学力の不足
(2)計画を立案すること,実行することが困難
(3)「もの」を製作したり,創造したりするなどの自由に発想することが苦手

上記の(1)については,1年次に履修する物理,数学に加えて,機械工学分野における解析的及び工学的な考え方と基礎力を培うために「エンジニアリングメカニクス」と呼ばれる力学と数学を中心とする科目があります.(2),(3)については,既成の概念にとらわれず自由な発想ができるように,既存の機械の内部構造を推定したり,社会,経済,芸術などの関連する分野への接触の機会を得るために「ビジュアルシンキング」,「プロジェクトベーストラーニング」と呼ぶ科目があります.受験勉強では,唯一の解が得られる問題に時間内で取り組むことに重点が置かれ,学生の思考や価値判断の重点が置かれてきました.しかしながら,実際には,解はいくつか存在するような問題が多く,エンジニアの発想や創造力により解決していくことが重要になります.このように,受験勉強を主体とした学習からの脱却と発展を目指します。

コース説明

ビジュアルシンキング

機械工学は,関連する分野がきわめて広範囲で多岐にわたり,今や従来の工学や技術にとどまらず,新しい領域を拡大しつつある学問領域です.そこで,本科目では,これから機械工学を学ぼうとする学生を対象に,既存のパラダイムを打ち破る将来展望を自らの手で形成してもらうことを意図しています。具体的には,
(1)機械工学の先端分野に関する講演と討論
(2)各種メカニズムに関する知識の習得と考察
(3)工業製品・部品や意匠性の高い製品を対象とした空間表現法の習得
(4)供試メカの内部メカニズムの推定
(5)上記(1)~(4)の内容を包む製作実習
などを行います。

スパゲッティビルド:構造物の勉強 ホイストロボット:ものづくり

デザインエンジニアリング

実際に機械が出来上がるまでには多くの手順があります。ここでは,エンジニアの創造力が大きな要素となります。製品仕様の策定から始まり,実際の生産が行われるまでの一連の設計工程について基礎知識を習得します.特に概念設計及び基本設計などの設計工程の上流部において適用される有用な技術を学びます.また,空間(3次元)図形の表現法について学び,機械部品の3次元表現に関してソフトウエアを使用して学び,積層造形法などを用いて試作品を作成します.次年度以降に学習する製図法に接続します。

デザインエンジニアリング1 デザインエンジニアリング2

エンジニアリングメカニクス

5名の教員により,40名から50名の少人数クラスに分かれて授業を展開します.その内容は,機械に作用する力や偶力(モーメント)などの理解や計算,機械の静的・動的運動の概念と解析などの初等力学と数学的な解析能力を養うことが中心となります.コンピュータを利用した視覚的な教材も活用し,数学的な理解にとどまらず実際の機械との関連を理解することを目標としています.次年度以降に学習する材料力学や熱・流体力学に関する力学の中で,ややもすると欠落しがちな力学系の大局的な平衡に対する視野の獲得を目指します.

プロジェクトベースドラーニング

問題は現場で発生するということから,現場(社会)との接点を設け,そこで生じる問題や課題に焦点をあて,それらの解決を目指します.低学年では,最新の機械工学に触れる機会を多く持ちます.先端分野に関する講演と討論,各種メカニズムを考察し利用されているメカニズムの理解を促します.動力機械の分解と組立の実習などを行い,実際に手と足と頭を連動して動かしていきます.

カリキュラム

新入生の科目内容は紹介しましたが,総合機械工学科では,日本の製造業を支える大きな柱となっている機械工学について,高校までに学習した基礎事項をさらに深め,機械工学分野における基礎を構成している各種の力学を中心とした専門基礎科目の十分な定着を第1の目的とします.それらの定着は,知識として各個人が蓄えることが重要であり,この知識を活用できることが,エンジニア(機械屋)としての重要な素養の一つとなっています.すなわち専門科目の学習で得られる知識は,各個人が体験/活用しなければ,その体得は期待できません.そのための工夫として,PBLと称する各種の問題解決・演習型の科目を中心として,各個人が得た知識を研鑽する機会を用意しています.
低学年では,機械工学の基盤を構成する力学関連基礎科目(材料力学・工業力学・熱力学・流体力学)について,低学年より学習を開始します.これらは,エンジニアリングにおける専門基礎科目であり,講義に演習やIT技術を利用した視覚表現を活用し基礎科目の知識の定着を数学・物理などの教養科目と接続します.

コース説明